人権剥奪期間
かわりに「花子!?」と、大きな声で叫んだ。


先生たちにバレてもいいという気持ちになっていた。


それよりも花子を探し出さないと!


よく見ると床には転々と血痕が残っていて、あたしと聡介はそれをたどって歩き出した。


血痕は窓の方へと続いていて、カーテンの下で途切れていた。


クリーム色のカーテンは、窓も開いていないのにフワリと浮き上がっている。


いやな予感がして心臓が早鐘を打ち始めた。


見たくないと本能が告げている。


聡介がそっとカーテンに手を伸ばした。


いや……!


目をそらす寸前で、聡介がカーテンを開いた。


教室内が月明かりに照らしだされ、カーテンの下にいた人物を浮かび上がらせた。


「花子……」


それは血にぬれた花子だった。


なにか硬いもので頭を殴られたのか、顔中血だらけになり、目はカッと見開かれて天井を見上げている。


必死に逃げ惑ったのか、制服はあちこち破れていた。


あたしは呆然として花子の隣に膝をついて座り込んでしまった。


「どうして……」


花子はまだ生きていると思ったのに。


無事に合流できると思っていたのに!
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