人権剥奪期間
「死んだのは昨日かもしれない」


花子を見下ろしていた聡介が呟いた。


「え?」


「少し、臭いがする」


そう言われて気がついた。


この教室内には腐臭が漂ってきているのだ。


「それじゃ、朝のメッセージを送ったのは花子じゃなかったってこと?」


「たぶんな」


頷く聡介に背筋が寒くなった。


誰かがあたしたちをここへ呼びよせようとしたということだ。


あたしは花子の両目をそっと閉じて立ち上がった。


もう残っている商品はあたしと聡介の2人だけになってしまった。


そして、今日も狩の時間が始まる。


「絶対に、許さない」


あたしはハンマーをきつく握り締めて呟いたのだった。
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