人権剥奪期間
☆☆☆

それから朝まであたしと聡介は相談室で時間を過ごした。


昨日狩に参加していた先生は榊先生が最後だったようで、誰かが襲ってくることもなかった。


そして、7日目の朝が来た。


「最後の朝だ」


聡介が窓の前に立ち、眩しそうに目を細めて朝日を見つめている。


「そうだね……」


そして今日は日曜日。


生徒たちの登校はない。


水道の水で血まみれになった体を洗い、水分を取る。


そしてまた相談室に戻ったとき、学校内はあわただしさを取り戻した。


狩の時間中は警察官も学校内に入ってこなかったから、これからまた夜まで現場検証などが行われるんだろう。


どうして狩の時間になると警官がいなくなるのか、それはもう、大人たちの娯楽のためだとしか思えなかった。


先生は狩の時間を邪魔されたくないのだ。


そして警察はそれを容認している。


だって、人権剥奪期間は国が定めたルールだから……。
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