人権剥奪期間
確認すると、それは聡介からのメッセージだった。


《聡介:1年B組にいる》


たったそれだけの文章に目が釘付けになる。


1年B組はあたしたちのクラスだ。


聡介はそこにいると言う。


助けにいかなきゃ!


そう思い、よろよろとトイレから出た。


あと3時間なんだ。


あと少しであたしたちは人間に戻ることができるんだ。


そう思うと自然と早足になっていた。


聡介はそんな簡素なメッセージは送ってこない。


あたしに心配だけをかけるようなメッセージは送ってこない。


舞はそうやって騙されて殺された。


親からのメッセージだって疑ってかかった。


そんなこと、考える余裕はなかった。


助けなきゃ。


早く聡介を助けにいかなきゃ……。


ただ、それしかなかった。
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