人権剥奪期間
☆☆☆

「あいつらが今週の商品だ!」


教室から逃げ出したとき、クラスメートのひとりが叫んだ。


その声に思わず振り向くと、あたしの後ろから聡介が教室から出てきたところだった。


そしてそれを指差している男子生徒。


廊下に出ていた生徒たちが一斉にあたしたちふたりに集まる。


「商品って、あの法律の?」


「隣のクラスのヤツだったのか」


「え、あの2人にはなにしてもいいってこと?」


そんな声が追いかけてきて、あたしは慌てて前を向いて走った。


最初は戸惑っていても、ターゲットが近くにいるとわかれば次は行動に移すはずだ。


「捕まえてみようぜ!」


ゲーム感覚で楽しむ声まで聞こえてきてあたしは下唇をかみ締めた。


これは遊びだと、完全に楽しんでいる連中も少なくなさそうだ。
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