人権剥奪期間
「どうして外に出られないんだろう……」


あたしは目の前に広がっている外の景色を睨み付けた。


校門の向こうでは車や人が行きかっていて、平穏な日常が流れているように感じられる。


今朝両親が言っていたとおり、人から逃げるためには人の中に紛れ込むのが一番だと思えてくる光景だ。


「まだ、学校が終わる時間じゃないからかもしれない」


「そんな……」


あたしたちは早退をした。


それなのに外に出られないんじゃ意味がない!


「とにかく着替えないといけない。保健室に行こう」


あたしは聡介に支えられてどうにか立ち上がったのだった。
< 39 / 182 >

この作品をシェア

pagetop