人権剥奪期間
その話にあたしは気分が悪くなってきていた。


こんな法律を決めた人間がいること。


こんな警報音を鳴らす人間がいること。


そのことがとてつもなく気持ち悪い。


「放課後になったら外へ出られると思う?」


その質問に聡介は左右に首を振った。


「わからない。もしかしたら、出られないのかもしれない」


もしそうだったら?


夜も朝も昼もずっと学校から出ることができなかったら?


あたしは今日の午前中だけで経験してきたことを思い出し、自分の体をきつく抱きしめた。


これから毎日あんな恐怖を味わうことになるのかもしれない。


「商品が一度家に帰ったら、もう出てこなくなるかもしれない。そうなると、他の連中は面白くないよな。商品になっていない家族に危害を加えることはできないから、一週間隠れ続けることも可能かもしれないんだから」
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