人権剥奪期間
商品が隠れられないようにこの警報音は鳴る。


あたしは自分の胸に手を当てた。


生まれたときに体内に埋め込まれたというチップはどこにあるんだろう?


肌には傷も残されていないから、チップを取り出すことも難しい。


どこまでも徹底されているのだ。


「とにかく、ここに誰かが来る前に隠れる場所を探しに行かないといけない」


そう言って聡介は立ち上がった。


さっきは1年の教室がある2階の空き教室へ逃げ込んだ。


だけどそこはもうマークされているだろう。


同じ場所に隠れることはできない。


「そうだね。行こう」


あたしはそう答えて、立ち上がったのだった。
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