人権剥奪期間
舞は絆創膏をゆっくりとはがしていく。


肌に刻まれていたのは番号だった。


326.


その無表情な番号があたしたちの頬にあるものだと同じだとすぐにわかった。


「嘘……」


思わず呟いた。


まさかこの学校内に商品になった人間が3人もいるなんて思っていなかった。


唖然として舞を見つめると、舞は目を伏せて「みんな、一気に変わっちゃったよね」と呟いた。


「あぁ……。君も逃げてきたのか?」


「うん。あたしたちと同じ商品がいないか、探してたところ。今なら授業中だから安全だしね」


また違和感だ。


あたしは聡介の後ろから前へ出た。


「さっきから聞いてたらまだ商品になった人がいるように聞こえるんだけど?」


「そうだよ。あたしたちの他にあと3人いる」


その言葉にあたしは目を見開いた。


聡介が後ろで息を飲む音が聞こえてきた。


「その3人も、同じ生徒なのか?」


「そうだよ。みんな3回の空き教室に集まってる。あなたたちも来るでしょう?」


コクンと頷く舞。


あたしは聡介と目を見合わせた。


舞の言葉を信用してもいいのだろうか?


油断してついて行ったら攻撃されるかもしれない。


そんな不安が膨らんでいく。
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