人権剥奪期間
あたしは一段階段を上がって舞の頬に手を伸ばした。


数字に触れてみると、肌の奥に硬い感触がある。


「これ、チップが関係してるんだろうね」


舞は小首を傾げていった。


あたしは聡介へ視線を向ける。


この数字はやっぱり本物だ。


あたしたち2人だけで学校中を逃げ回るよりも、仲間がいたほうが心強い。


それに、あたしたちはちょうど隠れられる場所を探していたところだ。


スマドで時間を確認してみると、授業が終わるまであと3分になっていた。


もう迷っている暇はない。


「行ってみよう」


聡介の言葉にあたしは頷いたのだった。
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