人権剥奪期間
その時は女性専門家の偏った思想だと考えていたけれど、どうやらそうではなかったらしい。


子供が増えに増えて、悪いことを考える大人も増えた。


そしてそれについていく子も多くなった。


そうなると治安が悪くなるのは当然の結果だった。


そこで政府が次に打ち出したのは『人権剥奪期間』だった。


18歳以下の子供たちの人権を一週間剥奪できるらしい。


しかし、人権を剥奪されるのは選ばれた子供たちのみ。


選ばれるのは全国で500人の子供たち。


ランダムで選ばれたら、朝起きたときに右頬に数字が浮かび上がっているらしい。


なんで体に数字が浮かび上がってくるのかはよくわからない。


でも、この法律ができてから生まれてきた子供の体には、チップが埋め込まれていて、それが反応しているのだろうと思われている。


人権を剥奪された相手にはなにをしてもいいというのがルール。


下手をすれば500人の子供が死ぬということ。


だけどこれが政府の目論見だ。


子供が増えすぎた今、少しでも減らしたいと考えているから。


だけど単純に殺すことなんてできない。


だから子供の非行と結びつけた法律を作ったんだ。


表向きには度重なる若者たちの非行から大きなストレスが生まれ、それがまた悪意へと変わってしまう。


それを防ぐために、若者たちに犠牲となってもらい、ストレス発散をする。


ということになっている。
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