人権剥奪期間
心臓がドッドッドッと駆け足のように鳴り、そのたびに全身に熱い血液が送られる。
呼吸音が外に漏れないよう両手で口をふさいで、深呼吸を繰り返した。
数分して落ち着いてくると耳を済ませて外の様子を伺った。
廊下から話声が聞こえてくるけれど、なにを言っているのかここまでは聞こえてこない。
トイレの中にも人の気配は感じられなかった。
あたしはスマホを取り出すと聡介にメッセージを送った。
《恵美:聡介大丈夫? 返事ください》
すでに開放されていればすぐにでも返事が来るはずだ。
しかし、画面をジッと見つめていても既読も付かない。
焦る気持ちが先に立ちもう1度同じ文面でメッセージを送る。
少し待ってみてもそれにも既読はつかなかった。
普段ならそれほど気にしないのに、今は状況が違う。
あれだけの人数に囲まれていたのだ。
もしかしたらうまく逃げることができなかったのかもしれないと、不安は膨らんで行く。
だけど今外へ出るわけにはいかなかった。
そんなことをして捕まってしまったら、せっかく聡介が逃がしてくれたのに台無しになってしまう。
「どうか、無事でいて……」
あたしはスマホを胸の前で抱きしめて、願うように呟いたのだった。
呼吸音が外に漏れないよう両手で口をふさいで、深呼吸を繰り返した。
数分して落ち着いてくると耳を済ませて外の様子を伺った。
廊下から話声が聞こえてくるけれど、なにを言っているのかここまでは聞こえてこない。
トイレの中にも人の気配は感じられなかった。
あたしはスマホを取り出すと聡介にメッセージを送った。
《恵美:聡介大丈夫? 返事ください》
すでに開放されていればすぐにでも返事が来るはずだ。
しかし、画面をジッと見つめていても既読も付かない。
焦る気持ちが先に立ちもう1度同じ文面でメッセージを送る。
少し待ってみてもそれにも既読はつかなかった。
普段ならそれほど気にしないのに、今は状況が違う。
あれだけの人数に囲まれていたのだ。
もしかしたらうまく逃げることができなかったのかもしれないと、不安は膨らんで行く。
だけど今外へ出るわけにはいかなかった。
そんなことをして捕まってしまったら、せっかく聡介が逃がしてくれたのに台無しになってしまう。
「どうか、無事でいて……」
あたしはスマホを胸の前で抱きしめて、願うように呟いたのだった。