人権剥奪期間
それから10分後。


「もう大丈夫そうよ」


学校内の様子を確認してくれていた先生が戻ってきて、そう声をかけてくれた。


「ありがとうございます」


まずお礼を言い、それから花子と大志へ視線を向けた。


聡介は痛み止めがよく効いているようで、まだ眠っている。


「外に出られるかどうか、行ってみよう」


あたしは2人へ向けて声をかけ、保健室を出たのだった。


保健室から昇降口まではすぐ近くだった。


下駄箱を確認してみると残っている生徒は誰もいないことがわかった。


周りが静か過ぎて耳がキーンと痛いくらいだ。


あたしたち3人は恐る恐る出口に近づいた。


しかし、警告音は聞こえない。


これなら大丈夫かもしれない!


そう思って一歩を踏み出した瞬間、あのけたたましい音が鳴り始めたのだ。


耳を塞ぎ、慌てて校舎に戻る。


耳の奥が痛くて顔をしかめた。
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