人権剥奪期間
教師の休みと生徒の休みはだいたい同じだ。


舞は一歩廊下へ足を踏み出し、そして一度振り向いた。


「そうじゃない先生だっている」


そして一言そういい残して廊下を走りだした。


その姿はすぐに小さくなって見えなくなってしまった。


次に大志と花子も保健室を出てバラバラに駆け出した。


早く逃げ出したほうが、いい隠れ場所を確保できるかもしれない。


あたしは聡介へ振り向いた。


聡介は笑いかけてくれている。


「大丈夫。行け!」


聡介がベッドから手を伸ばしてあたしの背中を押した。


あたしの体は簡単に保健室の外へ出てしまった。


先生から渡された保健室の鍵を痛いほどに握り締める。


「生き残ってくれ絶対に」


聡介はそういい残すと保健室のドアをしっかりと閉めたのだった。
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