セフレのテラダ
テラダ
金曜の夜。
駅前のビルの最上階。
たくさん入ったテナントの一つのカジュアルなダイニングで先輩の南さんと女2人で飲む。

話す内容は大体いつも一緒で、結婚だの恋人とのケンカだの。
私はいつも南さんの聞き役だ。

「何考えてるか分からないし、だいたい向こうがさ・・・」

南さんの愚痴が止まらない。

私は愛想笑いで「あー分かりますー」なんて答えてる。

そうこうしてるうちに、南さんのスマホに連絡が入る。
おそらく恋人の仕事終わり連絡。

「終わったって。」
「じゃあ、店出ますか。」

2時間の滞在時間。
会計を済ませる。

「もう下に来てるみたい。」

店を出たところでスマホ画面を見ながら南さんが言う。

「私トイレ寄ってくんでいいですよ。」

焦ってる南さんに私はそう答える。

「そう?ごめんね、ごめんね。」

南さんは軽く手を合わせて急いでエスカレーターへと向かっていく。

その後ろ姿を見ながら、さて、この後どうしようかな、と考える。

トイレから戻ってくるとエレベーターの前は男女の集団で酷く混んでいた。

軽くその集団を眺め、諦めてエスカレーターの方に歩を進める。

「あれ?あれあれあれ?」

男女の集団の中の一人の男とバッチリ目が合う。
見覚えのある顔だ。

「さーや、サーヤじゃない?だよね?」

その人は失礼にも私を指差しながらズカズカとこっちへと向かってくる。

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