セフレのテラダ
「え?」

私とテラダの声がハモる。

「お邪魔だろうし、今日は帰るね。たまちゃんも、気をつけなよ〜」

南さんは帰り支度をしながら最後の最後にやっと笑顔になった。

「テラダぁ、テラダは大丈夫でしょうねえ?」
「俺?ないないない。」

テラダは笑いながら顔の前で手を振る。

「なら、良かったね、たまちゃん。」

南さんはそう言って私の肩にポンと手を乗せた。

「そういうんじゃないですよ、テラダは。」

私がそう答えると「そっか。」と言って肩から手を下ろし、スルリと立ち上がった。

南さんはどこからどう見ても綺麗だ。

なんで、こんなことになるんだろう。

傷つくために綺麗になったわけじゃないのに。

残された私とテラダも、なんだか会話が進まなくて早々とお会計にした。

珍しい。

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