セフレのテラダ
翌朝起きるとかなり体が軽くなっていた。

まだ寝てるテラダ。

私は一人起きて朝ごはんを準備し始める。

今日はクリスマス。
っぽいものは何もないけれど。

簡単なパウンドケーキくらい作ろうかな。

全然出番のなかったホットケーキミックスを見つける。
賞味期限もギリギリ大丈夫だ。

結局テラダが起きてきたのは、ケーキがすっかり焼けて、私一人で味見がてら食べてる時だった。

「えーすごいじゃん」

テラダがパウンドケーキを見るなり発する。

「食べる?」
「食べるよ、もちろん。」

私は「じゃあ、ちょっと待ってて」と言ってコーヒーとパウンドケーキに赤ワインで煮たリンゴを添えて出す。

「すげー」

テラダが驚く。

「普通だよ」
「全然普通じゃねえよ」

そう言って頬張るテラダ。

「うまーい」

急に子どもみたいな顔になる。

「おでんのお返し」
「それなら毎週おでん買うわ」

テラダが美味しそうに食べていく。

ふと、この顔を他の女にも見せてるのかな、なんて感情がよぎる。

これもモテるテクニックの一つなんだろうか、とか。

どこか私は心にブレーキをかけながら、テラダの笑顔を眺めるクセがついてしまった。

「体調どうなの」
「普通に良くなった」
「じゃーどっか行く?」

テラダが私の目を見る。

私は「うん」と頷く。
テラダがすごく優しい笑顔を私に向けながら、一口コーヒーを飲む。

きっと、テラダとのこんな日々は永遠じゃない。

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