セフレのテラダ
月の光がゆらゆら揺れる。

指を舐めながらテラダを見上げた。
テラダはぼんやりと私を見下ろしていた。

指から唇を離して、代わりにそのまま近付いてきたテラダの唇を受け入れる。

今日のキスはいつもより長い。

ゆっくりと揺れるような、海の上にいるような。

テラダが今度私の指にキスをする。
指から、首筋。
流れるようなキス。

夜の空気に溶けていくようだった。

そのままセックスになだれ込む。

今日のテラダはいつもよりゆっくりで、逆にそれが私をいつもより気持ちよくする。

なんでこんなに心地良いの。
気持ち良くて夢中になる。

私はテラダとするセックスが好きだ。

そして多分、セックスしなくてもテラダのことが好きだ。

テラダが私の鼻を自分の鼻で撫でる。
付きそうで付かないお互いの唇。

たくさんたくさん焦らされた後のたくさんのキス。

今やってることが無性に哀しくて辛い。

だから好きになるのが嫌だったんだ。

心の入らない関係なら、ただただ楽しかったのに。

テラダとずっとこうしていたい。

テラダは最後私の手をギュッと握りしめる。
いつもこれが、お決まりだった。
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