セフレのテラダ
「ねえ」

私は隣でまだ横になってるテラダに声をかける。
眠そうに「ん?」と口角だけで応える。

その上がった口角も好きだよ。

「私、そろそろちゃんとするよ。」

テラダが少し重そうに上体を起こす。

「頑張る。」

私の言葉にテラダは宙を見つめてる。

「頑張るって、何。」
「ちゃんと恋人つくる。つくって、テラダとの関係終わりにするね。」

私が言ってもテラダの顔はボンヤリとしてた。

どうせ都合のいい女がいなくなるなーくらいにしか思ってないんだろう。

ポリポリと頭を掻くテラダ。

眠くて頭が回ってないようだ。
テラダがゆっくりと私を見た。

「俺がいるじゃん。」

カーテンから漏れる外の光がテラダの顔に当たる。

テラダが私の腕を引き寄せる。
目と目が合う。

「ちゃんと付き合おう?俺たち。」

突然の言葉。
本当に欲しかった言葉。
なのに、私の心はグッと押し潰されるようだった。

「テラダとはダメ。」

テラダの目の色が静かに変わる。

「俺ダメだった?」
「ううん、でも多分私とテラダはうまくいかないと思う。」
「なんで。」

初めて見るテラダの目。
そんな冷たい目を私に向けないでほしい。

「テラダはこんな重い女、好きじゃないよ。」

テラダが黙り込む。
私が続ける。

「面倒くさい事言わないで、誘ったらいつでも来てくれる子がいて欲しいだけだよ。」

私は途中で気付く。
ずっとずっと自分にそう言い聞かせてきたことを。

テラダは横目で私をチラリと見て、「俺の何を知ってんだよ。」とだけ言った。

そしてベッドから降りた。
私は座ったまま、キッチンに向かうテラダの背中を見つめる。

本当はテラダがいい。

私はテラダのことが大好きだ。

でも私はすごく面倒な女なんだ。

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