セフレのテラダ
私はどうしたいんだろう。

自分の宙ぶらりんな気持ち。

テラダの方を振り返る。

「デートだったんだ?」

テラダが私を見下ろす。

「うん。前、合コンで会った人。」
「早いな。」

そう言うと、テラダは何か次の言葉を考えているようにしばらく下を向いた。

寒い。

耳が痛い。

何台か車が通過した。

「じゃあ、俺も帰る。」

やっと出てきたテラダの言葉はそんなだった。

そのビニール袋は、中の飲み物は、一緒に飲むんじゃないの。

「寒いし上がっていきなよ。」

私の声が虚しく暗闇に消える。
テラダが笑顔で顔を上げる。

「ごめん。」

痛々しい笑顔。

「今日は一人になりたい。」

白く八重歯が覗く。
私はテラダのこの笑顔は好きだけど、それ以上にショックを受けていた。

「上がればいいじゃん。」
「ねえ、最後に聞いて?」

私の言葉を遮る「最後」というワードに心臓がキリッと痛む。

「なに。」

< 55 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop