セフレのテラダ
なんで私たちは辛いの。
なんで好きなのにダメなの。

「私もすごく辛いよ。」

くしゃくしゃに泣きながら笑うテラダを見る。

「サーヤのこと大好きだよ。」
「うん。私も。たぶん私の方が好き。」

私たちの限界。

テラダがフワッと長い両手を広げる。
私の大好きな「きて」の手だ。
その中に吸い込まれるように、体を収める。
細長い両手が私をきつく抱きしめる。

「ありがとう。」

見た目以上に、すごく強くて痛い。

最後のハグだ。

「ありがとう。」

私達はすべての関係を終わらせることにした。

テラダはフラフラと自転車に乗って表の通りへと消えていく。

たぶん本当に最後だ。

後ろ姿を見て思う。

こんなに終わりが辛いなら、始めから何もなければ良かった。

またフラッと会いに来てほしい。
嘘だよって言っていつもの笑顔で来てほしい。

セフレでいいから一生一緒に遊んでいれば良かった。

刹那的でただ楽しいだけの関係が、あのドライブのような遊びの日々が一生続けば良かった。

< 57 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop