セフレのテラダ
「次のデジタルは愛を結ぶ」
新しい電話会社の広告だ。
渋谷のど真ん中に、人気の俳優が2人大きく並んでいる。
ふとその前で立ち止まる。
牧くんも見上げる。
「5月から一部地域で試験的に始まるっていうよね。」
「え、なにが?」
「この次世代システム」
全然知らなかった。
ふうん、と返す。
「愛ってなんだろうね」
私が呟く。
「俺にもまだよく分かんないな〜」
牧くんが言う。
結ぶ前に見つけてほしいよ。
「玉山さんさ、彼氏いるでしょ。」
驚いて隣の牧くんを見る。
「いないよ、1年以上いない。」
「じゃあ、すごく好きな人いるでしょ。」
牧くんを見たまま固まる。
「なんで?」
「なんかずっと心ここに在らず、みたいな。」
口元に手を当てる。
バレてた。
「話くらいは聞けるかもしれないからさ、また今度遊ぼうよ。」
牧くんがフワッと笑う。
「うん、ありがとう。」
私もやっと笑えた。
嘘じゃない、本当の笑顔。
大きなその広告の前、桜の花びらが舞う。
「きれい。」
一瞬で終わったあのテラダとの日々は、まるで夜桜のような、儚くて美しくて、嘘だったんじゃないかと思うほど、幸せだった。
またあんな気持ちになれるだろうか。
あんなキラキラとした日が来るんだろうか。
ねえ、テラダ。
テラダを上回るほど、いい恋をするよ、私。
新しい電話会社の広告だ。
渋谷のど真ん中に、人気の俳優が2人大きく並んでいる。
ふとその前で立ち止まる。
牧くんも見上げる。
「5月から一部地域で試験的に始まるっていうよね。」
「え、なにが?」
「この次世代システム」
全然知らなかった。
ふうん、と返す。
「愛ってなんだろうね」
私が呟く。
「俺にもまだよく分かんないな〜」
牧くんが言う。
結ぶ前に見つけてほしいよ。
「玉山さんさ、彼氏いるでしょ。」
驚いて隣の牧くんを見る。
「いないよ、1年以上いない。」
「じゃあ、すごく好きな人いるでしょ。」
牧くんを見たまま固まる。
「なんで?」
「なんかずっと心ここに在らず、みたいな。」
口元に手を当てる。
バレてた。
「話くらいは聞けるかもしれないからさ、また今度遊ぼうよ。」
牧くんがフワッと笑う。
「うん、ありがとう。」
私もやっと笑えた。
嘘じゃない、本当の笑顔。
大きなその広告の前、桜の花びらが舞う。
「きれい。」
一瞬で終わったあのテラダとの日々は、まるで夜桜のような、儚くて美しくて、嘘だったんじゃないかと思うほど、幸せだった。
またあんな気持ちになれるだろうか。
あんなキラキラとした日が来るんだろうか。
ねえ、テラダ。
テラダを上回るほど、いい恋をするよ、私。