ちいさなことばをひろいあつめて【短編集】
「そりゃあそうだけどさ…死にたくないとか長生きしたいとか思わないのか?」
「あら?貴方はそう思ってる?」
普通、質問を質問で返されるのは気分の良いものではないが、――不思議とそうとは感じなかった。
きっとそれは彼女の笑顔が今までで一番輝いていたから。
「私ね、今あなたと一緒にいるこの時間、この家、この雰囲気が愛おしいの。一日一日が後悔ないくらい充実してるわ。だからいつこの世が終わっても私は満足」
この上なく完璧な理由に俺は唖然としながらも心の底から幸せを感じた。
そして目を背けがちだった漠然とした地球滅亡の不安もさっきのバニラアイスみたく溶け崩れていく。
これだけ俺のことを愛して幸せでいてくれる人がいる。
ああ、きっと俺は最高に幸せなんだ。
「…いつまで生きられるか分からないけど、俺も幸せだから後悔はないさ」
俺の偽りない言葉に彼女は笑い、優しく唇を重ねる。
あとこのキスも何回出来るか分からない。
だけどこんな幸せさえ噛みしめずただ足掻いて死ぬのなんで俺は御免だ。
テレビの中で足掻き、逃げ惑う群衆を片目で見ながら俺はそんなことを考えた。
「あら?貴方はそう思ってる?」
普通、質問を質問で返されるのは気分の良いものではないが、――不思議とそうとは感じなかった。
きっとそれは彼女の笑顔が今までで一番輝いていたから。
「私ね、今あなたと一緒にいるこの時間、この家、この雰囲気が愛おしいの。一日一日が後悔ないくらい充実してるわ。だからいつこの世が終わっても私は満足」
この上なく完璧な理由に俺は唖然としながらも心の底から幸せを感じた。
そして目を背けがちだった漠然とした地球滅亡の不安もさっきのバニラアイスみたく溶け崩れていく。
これだけ俺のことを愛して幸せでいてくれる人がいる。
ああ、きっと俺は最高に幸せなんだ。
「…いつまで生きられるか分からないけど、俺も幸せだから後悔はないさ」
俺の偽りない言葉に彼女は笑い、優しく唇を重ねる。
あとこのキスも何回出来るか分からない。
だけどこんな幸せさえ噛みしめずただ足掻いて死ぬのなんで俺は御免だ。
テレビの中で足掻き、逃げ惑う群衆を片目で見ながら俺はそんなことを考えた。