白豚王子育成計画〜もしかして私、チョロインですか?〜
そして翌朝、私は早速実践する。
「あ、あの……エドワード様?」
「グフフ? なんだい、リイナ?」
「麦の多いパンって、美味しいですよね?」
一緒に植えたまだ芽の出ない花壇を見ながら、無理やり話題を切り出すと、エドワード様は首を傾げた。
「そ、そう? 白いパンの方がふわふわで、リイナは好きそうだと思っていたけど?」
「あとパスタも美味しいです! それに真っ白いオムレツは食べたことありますか? 卵白で作ったものらしいんですけど、白いんです。卵黄使ってないから。あとサラダには蒸し鶏をトッピングしてあるといいですね。そしてドレッシングは御自身でサーブして、あ、でも良質なオイル少しと塩だけで食べるのもなかなかオツなものですよ」
人差し指を立てながら、必死に笑顔を作ってアレコレ話すと――王子は一通り聞いてから、短く尋ねてきた。
「それ、リイナが食べたいの?」
「え、あ……はい」
「わかった。じゃあ作らせるから、一緒に食べようか」
ショウが言ったのはこうだ。
『好きな子が食べたそうにしていれば、一緒に食べようと誘ってくるのが惚れてる男ってもんだ』
まぁ、この手段の難点として、私も付き合わなきゃいけないことなんだけど。
だけど案の定この日から、散歩の後の朝食も一緒に摂り、
「明日は何が食べたい?」
「おやつはどうしようか?」
「たまにはテラスで食べるというのも」
などなど、白豚王子が嬉しそうに食事に誘ってくる機会が増えたことは、言うまでもない。