白豚王子育成計画〜もしかして私、チョロインですか?〜
なんて私が寝たフリしながら、うっすら目を開けると……。
「可愛い面してやがるなぁ。とっとと食っちまうか」
「おかしら、傷物にしたら価値が下がってしまいますよ」
「ケッ、わかってらァ」
おかしらと呼ばれた男の顔に、私は絶句した。
むさ苦しい。その一言で全てが片付いた。黒の長髪や髭もボサボサで汚らしい。団子っ鼻もテカテカで、毛穴が離れていてもしっかり見える。てか、臭い。なんかとにかく獣臭い。というか、いくつよオッサン。
私は必死で寝たフリをする。見なかった。盗賊とロマンなんて夢を見てごめんなさい。私は何にも見なかった。だからお願い、とっとと私から離れてください。
そう必死に祈っていると、
「ほら、おかしら。みんながおかしらを待ってますよ」
なんて下っ端っぽい人が言ってくれて、「チッ。しゃーねーなァ」と満更でもなさげにおかしらがどんちゃん騒ぎに戻っていく。
それに、私がコッソリと安堵すると、
「眉間に思いっきりシワが寄ってたぞ」
と小さく苦笑されて、私は思わず目を開けた。
酒樽の隣にロープで縛られた私に対して、彼は優しげな笑みを浮かべている。塩顔の地味な少年だが、顔の作りは悪くない。そんな少年がキョロキョロと周りを見渡しながら、ヒッソリと話しかけてくる。
「痛い所はないか? お腹空いてる?」
正直言えば、あちこちぶつけられたのか、節々が痛い。そして突然の環境の変化に、空腹なんか感じない。だけど、如何にもみすぼらしい格好した少年の持っていた皿に、私は思わず目を見開いた。
「焼きおにぎり……?」
「あ、よくわかったな。食べるか?」
地味な茶色いおにぎり。芳しい焼けた醤油の香り。それに思わず、私は垂れそうになったよだれを慌てて吸い込んだ。
転生してから、およそ一週間。このファンタジーなランデール王国は、和食と無縁な食事事情だった。ほら、よく海外旅行に行くと和食が恋しくなるっていうじゃない? 私は海外なんて行ったことないけど。でもようは、そんな感じなのである。醤油バンザイ。おにぎり最高。
「た、たべりゅ――――」
そう首を伸ばした時だった。何やら、急にどんちゃん騒ぎしていた方が騒がしくなる。
「可愛い面してやがるなぁ。とっとと食っちまうか」
「おかしら、傷物にしたら価値が下がってしまいますよ」
「ケッ、わかってらァ」
おかしらと呼ばれた男の顔に、私は絶句した。
むさ苦しい。その一言で全てが片付いた。黒の長髪や髭もボサボサで汚らしい。団子っ鼻もテカテカで、毛穴が離れていてもしっかり見える。てか、臭い。なんかとにかく獣臭い。というか、いくつよオッサン。
私は必死で寝たフリをする。見なかった。盗賊とロマンなんて夢を見てごめんなさい。私は何にも見なかった。だからお願い、とっとと私から離れてください。
そう必死に祈っていると、
「ほら、おかしら。みんながおかしらを待ってますよ」
なんて下っ端っぽい人が言ってくれて、「チッ。しゃーねーなァ」と満更でもなさげにおかしらがどんちゃん騒ぎに戻っていく。
それに、私がコッソリと安堵すると、
「眉間に思いっきりシワが寄ってたぞ」
と小さく苦笑されて、私は思わず目を開けた。
酒樽の隣にロープで縛られた私に対して、彼は優しげな笑みを浮かべている。塩顔の地味な少年だが、顔の作りは悪くない。そんな少年がキョロキョロと周りを見渡しながら、ヒッソリと話しかけてくる。
「痛い所はないか? お腹空いてる?」
正直言えば、あちこちぶつけられたのか、節々が痛い。そして突然の環境の変化に、空腹なんか感じない。だけど、如何にもみすぼらしい格好した少年の持っていた皿に、私は思わず目を見開いた。
「焼きおにぎり……?」
「あ、よくわかったな。食べるか?」
地味な茶色いおにぎり。芳しい焼けた醤油の香り。それに思わず、私は垂れそうになったよだれを慌てて吸い込んだ。
転生してから、およそ一週間。このファンタジーなランデール王国は、和食と無縁な食事事情だった。ほら、よく海外旅行に行くと和食が恋しくなるっていうじゃない? 私は海外なんて行ったことないけど。でもようは、そんな感じなのである。醤油バンザイ。おにぎり最高。
「た、たべりゅ――――」
そう首を伸ばした時だった。何やら、急にどんちゃん騒ぎしていた方が騒がしくなる。