白豚王子育成計画〜もしかして私、チョロインですか?〜
2章、ダンスパーティで白豚開花!
ダンス練習編
跪く王子にロマンを感じない女子はいなんじゃないだろうか?
……語弊があるかもしれないけど、誰しも一度は憧れるだろう。跪いたイケメンがパカッと小箱を開く。するとそこには、キラキラ輝くダイヤモンド。
まぁプロポーズではなかったし、お給料三ヶ月分の物なんて準備されてなかったけれど(代わりに手の甲に余計なことをされた気がするけれど)。
少し前なら、白豚が眼下にいた所で嫌悪しか抱かなかっただろう。だから、私も何とも思わなかったのだが。その時はまだ子白豚のはずなのに、妙にドキドキしてしまって。
そんなことがあって、前世ならカレンダーを一枚捲った頃、私は油断していた。そのロマンは初めてだから有効なのであって、何度も経験すれば慣れてしまうものだと思っていたのだ。
「僕と一緒に踊ってくれませんか?」
金髪のイケメンが微笑を浮かべて、私に手を伸ばしてくる。
だけど私は、とある症状に見舞われていた。
目眩。動悸。口渇。
まばたきを繰り返し、ハクハクと口を動かすしか出来ない私に、王子はその体制のまま小首を傾げた。
「これでもダメ? なかなか『いけめん』の所作は難しいね」