白豚王子育成計画〜もしかして私、チョロインですか?〜
「その段階で、どうして僕に相談してくれなかったの? すぐに兵を回して残党狩りなんて、そんな難しい話じゃないと思うんだけど」
それに、ショウはようやく顔を上げた。私を見て「なんできみが泣いてるんだよ」と笑い、視線をエドに向ける。
「魔が差したんだ。なんで同じ霊人なのに、この子はこんなにも幸せそうなんだろうって」
私は思い出す。前にショウが言っていたこと。
『……それは嫌味?』
『いんや。僻み』
ショウが密談していた後の会話。その時は『働いたことのない』ということに関しての軽い会話と思いつつ、特に気にしてなかった会話。
あの時は、そんな軽口に彼の深い気持ちが隠れているのは知らず。彼が本当に私を僻んでいたなんて、全く考えず。
もしかしたら、他にも同じようなサインがあったのかもしれない。
だけど私は、ただただショウとの会話が楽しくて。貰うおやつが美味しくて。
その兆候を思い出すことすら出来ない。
「申し分ない家柄。親にも婚約者にも愛されている御令嬢。たとえ世間知らずでも全て許されてしまう揺るがない立場。生まれ変わった先が地獄だった俺からしてみれば、眩しくて仕方なかった」
――最低だ。
仮にも『友達』なんて言ったのに。
少なくとも、私は『友達』だと思っていたのに。
彼の苦しみも、葛藤も、何も気づかなかった。
そんな浅はかな私の顔を見て、ショウは言う。
「きみに友達と言ってもらえて、とても嬉しかったよ。俺はこんなにも妬んでいるのに、きみはいつも無邪気に俺の作った物を食べてくれる。俺はきみを油断させるために、現世の食事を餌にしているのに、あんな嬉しそうな顔しちゃって……それでなかなか決行しない俺に業を煮やした奴らが、俺を殴りに来てたってやつさ」
その顔は、いつもの優しい顔だった。
それに返す言葉すら出てこなくって。代わりに無意味に泣き崩れるしか出来なくって。
立ち上がって、私の頭を撫でようと手を伸ばしてくれる。だけど、触れることなくすぐに引っ込められてしまった。
ショウは一息吐いてから、エドの方に向き直る。
「なぁ、王子。俺は極刑で構わない。代わりと言っては何だが、嬢ちゃんはきちんと保護してやってくれないか。特にこれといった知識や技能がなさそうなのがアレだが……きっと何らかの形で役に立つ時が――」
「その点は大丈夫。彼女は今後も僕の婚約者として、王家が保護を続けるからね」
なんか二人の間で纏められているようだが、
「……ねぇ、ちょっと待って」
極刑。その言葉の意味は、漫画やライトノベルでも出てきた単語。
最も重い罰――――つまり、処刑ということ。
「ショウさん……殺されちゃうの?」
私が顔を上げると、エドが呆れたように腕を組む。
「当たり前でしょう? だって王位第一継承者である僕の婚約者を殺害しようとしたんだよ? 極刑以外の沙汰を下すつもりはないけど」
「嫌です!」
私が即座に、エドの腕にしがみついた。彼が珍しく目を見開いている。前髪が少し伸びて、その目に影が出来てしまっていたけれど。それでも近づいたらわかってしまう。彼は、私がここで意見するのを好ましく思っていない。
――それでも。
たとえ嫌われたとしても、受け入れがたいことがあるから。
それに、ショウはようやく顔を上げた。私を見て「なんできみが泣いてるんだよ」と笑い、視線をエドに向ける。
「魔が差したんだ。なんで同じ霊人なのに、この子はこんなにも幸せそうなんだろうって」
私は思い出す。前にショウが言っていたこと。
『……それは嫌味?』
『いんや。僻み』
ショウが密談していた後の会話。その時は『働いたことのない』ということに関しての軽い会話と思いつつ、特に気にしてなかった会話。
あの時は、そんな軽口に彼の深い気持ちが隠れているのは知らず。彼が本当に私を僻んでいたなんて、全く考えず。
もしかしたら、他にも同じようなサインがあったのかもしれない。
だけど私は、ただただショウとの会話が楽しくて。貰うおやつが美味しくて。
その兆候を思い出すことすら出来ない。
「申し分ない家柄。親にも婚約者にも愛されている御令嬢。たとえ世間知らずでも全て許されてしまう揺るがない立場。生まれ変わった先が地獄だった俺からしてみれば、眩しくて仕方なかった」
――最低だ。
仮にも『友達』なんて言ったのに。
少なくとも、私は『友達』だと思っていたのに。
彼の苦しみも、葛藤も、何も気づかなかった。
そんな浅はかな私の顔を見て、ショウは言う。
「きみに友達と言ってもらえて、とても嬉しかったよ。俺はこんなにも妬んでいるのに、きみはいつも無邪気に俺の作った物を食べてくれる。俺はきみを油断させるために、現世の食事を餌にしているのに、あんな嬉しそうな顔しちゃって……それでなかなか決行しない俺に業を煮やした奴らが、俺を殴りに来てたってやつさ」
その顔は、いつもの優しい顔だった。
それに返す言葉すら出てこなくって。代わりに無意味に泣き崩れるしか出来なくって。
立ち上がって、私の頭を撫でようと手を伸ばしてくれる。だけど、触れることなくすぐに引っ込められてしまった。
ショウは一息吐いてから、エドの方に向き直る。
「なぁ、王子。俺は極刑で構わない。代わりと言っては何だが、嬢ちゃんはきちんと保護してやってくれないか。特にこれといった知識や技能がなさそうなのがアレだが……きっと何らかの形で役に立つ時が――」
「その点は大丈夫。彼女は今後も僕の婚約者として、王家が保護を続けるからね」
なんか二人の間で纏められているようだが、
「……ねぇ、ちょっと待って」
極刑。その言葉の意味は、漫画やライトノベルでも出てきた単語。
最も重い罰――――つまり、処刑ということ。
「ショウさん……殺されちゃうの?」
私が顔を上げると、エドが呆れたように腕を組む。
「当たり前でしょう? だって王位第一継承者である僕の婚約者を殺害しようとしたんだよ? 極刑以外の沙汰を下すつもりはないけど」
「嫌です!」
私が即座に、エドの腕にしがみついた。彼が珍しく目を見開いている。前髪が少し伸びて、その目に影が出来てしまっていたけれど。それでも近づいたらわかってしまう。彼は、私がここで意見するのを好ましく思っていない。
――それでも。
たとえ嫌われたとしても、受け入れがたいことがあるから。