スイレン ~水恋~
3-4
相変わらず地理感覚に疎いあたしが、どこをどう走ってるのか分かんない内に、車は立体パーキングに乗り入れられた。降りると当たり前に恋人繋ぎで歩き出す男。
駅が近いのか通り沿いには大小のビルが立ち並び、一階はほとんどがテナント。飲食店だったりパチンコ店だったり。木曜の夜のわりに人の往来もあって、そこそこの繁華街だった。
「梓ちゃんは来たことある?この辺」
訊かれて視線を巡らせつつ首を捻る。
「いつも秋生ちゃんが色んな店に連れてってくれるんだけど・・・、たぶん初めて」
「そっか」
「柳さんはよく来るの?」
反対の質問に、まあね、と事もなげ。
「ウチのシマだから」
鷺沢の縄張り?脳内でオウム返しに。
「giraffeは隣り駅だよ、憶えてて」
あっちはオレの庭。そう言って柳さんは横目でウィンクした。
駅が近いのか通り沿いには大小のビルが立ち並び、一階はほとんどがテナント。飲食店だったりパチンコ店だったり。木曜の夜のわりに人の往来もあって、そこそこの繁華街だった。
「梓ちゃんは来たことある?この辺」
訊かれて視線を巡らせつつ首を捻る。
「いつも秋生ちゃんが色んな店に連れてってくれるんだけど・・・、たぶん初めて」
「そっか」
「柳さんはよく来るの?」
反対の質問に、まあね、と事もなげ。
「ウチのシマだから」
鷺沢の縄張り?脳内でオウム返しに。
「giraffeは隣り駅だよ、憶えてて」
あっちはオレの庭。そう言って柳さんは横目でウィンクした。