スイレン ～水恋～

お兄の結婚が決まってからずっと溜まってたフラストレーションを爆発させちゃったからか。･･･なんだか突き抜けてる感じ。

妹も奥さんも“大事”。種類が違うだけで愛情の大きさは変わんないのよね、きっと。そんな簡単に兄離れできなくても自分なりの折り合い、付けていけそうかなぁって。

言っとくけど昨日までお兄一色だったんだから！成長したの！誰も褒めてくれなくても成長したんだからーっっ。

脳内で山頂から叫んでみた。近いうち秋生(ときお)ちゃんにも愚痴聞いてもらおう。大仰な溜息を吐く。

『あ、シアワセが逃げてった』

そんなこと言ってたっけ、あの男(ひと)。何となく思い出した。

ダイニングテーブルに頬杖をついて、ぼんやりテラス窓の外を眺める。今日もまずまずの天気。帰ってあたしも掃除と洗濯。わりと几帳面なんだからこれでも。料理はほぼほぼ、しないけど。

男の胃袋を掴むのは一生ムリって秋生ちゃんによく笑われる。･･･ほっといて。