スイレン ~水恋~
「うそ、伊沢さんの家なの・・・?!」

「残念」

弾き出した答えを呆気なく否定した男が、あたしの頭の天辺にキスを落としてクスクス笑う。

「ここは梓の家。今日から住むよ?オレと」

「あたしの家、・・・って、家・・・?」

間抜けた質問。単語の意味は理解できてるけど、いきなりすぎる。だって家って、そんな簡単に降って湧くモノじゃないでしょ?

「気に入らなかった?」

茫然としながらも首を横に振る。

「知り合いが中身ごと譲ってくれてねぇ。ここならハルト達も淳人も、オマエの好きに呼べばいい。ユリコの店もマンション(あっち)より近いし、スーパーが遠いのは我慢かなぁ?」
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