スイレン ~水恋~
「オマエを独りにしたくない時だけ。オレほどじゃなくても、まあまあ役に立つと思うけどねぇ」

「・・・お兄と隆二の頼みなら聞くわよ」

不承不承。

隆二と暮らし始めてから、志田と顔を突き合わせたのは片手でも余るくらい。せっかく伸ばしてる羽根が窮屈になるじゃない。溜息が漏れた。

「そう言えば梓の車、もうすぐタツオが届けにくるよ?」

「来るの?!」

マンション(むこう)も使うから荷物は残すけどね。大事なモノだけ持ってきてもらった」

あやすみたいに頭の上に乗った掌。
もうずっと、その上で転がされっぱなし。
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