スイレン ~水恋~
今までは隆二の居場所を自由に分けてもらってた。ここは一からふたりの居場所。似てるけど違うんだと思う。・・・違わないと意味がないと思う。

それにしたって。涼しい顔でいる男の顔をまじまじと。

ランプの精ってこっちからお願いして、叶えてもらうんじゃなかった?勝手に叶えるのは気前が良すぎよ!

「・・・なに?」

艶めかしい笑みに覗きこまれ、わざと顔を背けると捕まって頬ずりされる。眩みそうな甘さに酔いそうで。変なスイッチが入る前に、今度はキッチンに逃げ込んだ。

「すいません。お嬢さんの家だってのに好きに使っちまいまして」

「ゼンゼン気二シナクテ大丈夫デス」

お玉片手に煮汁を味見する仕草に見惚れながら、洗い物の手を止め、はにかみ笑い。

「キッチン使うの八割がた、隆二ですからぁ」
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