スイレン ~水恋~
外はしっとり暮れ、仄明るいダウンライトの下でカウンターテーブルを囲む。この四人で宅飲みする日が来るなんて想像もしてなかった。志田は置物になるのかと思ったけど、ときどき隆二と伊沢さんの会話に混ざる。・・・意外。
淡々と知らない組の話をしてるのを聞いてると、ただの口うるさい世話係と恋人と、小料理屋の大将じゃないんだって思い出す。
箸を伸ばしながらハイボールを一口、二口。馴れ合いはしなくても、隆二と志田にはどこかに古い結び目があって。切れそうで切れない気もした。
「お嬢さんには詰まらねぇ話でしょう」
「そうでもないです」
伊沢さんが気を利かせ、白和えやだし巻き玉子を取り分けて前に置いてくれる。
「二人がフツウに喋ってるの珍しいし」
「じゃあもっと梓の期待に応えよっか」
ふいに頭の上に乗った温もりと、クスリ笑い。
「・・・気色悪いこと抜かすな」
「冷たいとお嬢に嫌われるよ?」
「黙ってろ」
「みっともねぇ張り合いは、よさねぇか」
軽く一喝。切子のお猪口を二本指で摘まんだ伊沢さんが、カウンターの向こうから含み笑いを滲ませた。
淡々と知らない組の話をしてるのを聞いてると、ただの口うるさい世話係と恋人と、小料理屋の大将じゃないんだって思い出す。
箸を伸ばしながらハイボールを一口、二口。馴れ合いはしなくても、隆二と志田にはどこかに古い結び目があって。切れそうで切れない気もした。
「お嬢さんには詰まらねぇ話でしょう」
「そうでもないです」
伊沢さんが気を利かせ、白和えやだし巻き玉子を取り分けて前に置いてくれる。
「二人がフツウに喋ってるの珍しいし」
「じゃあもっと梓の期待に応えよっか」
ふいに頭の上に乗った温もりと、クスリ笑い。
「・・・気色悪いこと抜かすな」
「冷たいとお嬢に嫌われるよ?」
「黙ってろ」
「みっともねぇ張り合いは、よさねぇか」
軽く一喝。切子のお猪口を二本指で摘まんだ伊沢さんが、カウンターの向こうから含み笑いを滲ませた。