スイレン ~水恋~
秋生ちゃんの高笑いがまだどこからか聴こえてきそうな、その晩。いつもの三分の二ほど食べ尽くされ、余韻に任せてベッドに沈むあたしを抱き寄せ、隆二が言った。

「そろそろ真面目に仕事しないと怒られるから、これからはちょっと留守番が多くなるかなぁ」

そうなの・・・と思いつつ、なんか引っかかった。

「?マジメに仕事してなかったの?」

「ランプの精はご主人様のオネダリを叶えるのが仕事でねぇ」

答えになってるような、なってないような。 

「それでこのごろ淳人が子供の話しかしなくてさ。欲しい?オレの代わりに」

腕枕をされ優しく髪を撫でられながら。唐突に話が飛ぶ。すぐは理解できなかった、甘い響きで聴こえた言葉の意味が。

「オマエは代わりがないと寂しがって泣くだろ?・・・オレしかあげられないならあげるよ、なんでも」

刹那。
底からなにかが突き上げてきて。
脳髄を揺さぶられた。
鷲掴みで。
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