スイレン ~水恋~
仰向けにされ、脚の間をやんわり探られる感触に腰が仰け反る。

『どこに付けたい?』

指じゃないのが入り口を擦りながら奥まで入ってきて。圧迫感に喘いだ。

『ほら・・・こっちにでもいいよ?』

注がれる熱が今度こそ。交ざり合って、何億分の一かの奇跡を連れてくる気がした。

『オレはオマエのだよ、ずっと』

声が優しくて、あんまり切なくて、一つでいたくて。
隆二の首にしがみついて昇りつめながら泣いた。

『ごめんね』

どうして謝るの?
訊けなかった。意識が白く弾け飛んで。





それから作り置きの料理を並べ、一晩遅れのクリスマス。渡した包みを開いてイタリアンレザーのキーケースを手に取った男は、艶めかしい笑い顔であたしの髪や額にキスを降らせた。

代わりに隆二は、蝶の形のイアリングを両の耳たぶに飾ってくれる。丸みを帯びた羽がラピスラズリとダイアモンドで彩られた、エレガントなイアリングを。
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