スイレン ~水恋~
「しばらくぶりだったかな、あずちゃん。今度はこんな綺麗なお義姉さんが出来てよかったじゃないか」
「そうですね。ずっとお兄しかいなかったので新鮮です」
細面の相好を崩した、ポロシャツにジャケットを羽織ったおじさまに言葉を選びながら、あたしもニコリと愛想よく。還暦は越えてても着こなしが若くて、お父さんのほうが老け・・・落ち着いて見える。
とある老舗ホテル、おじさまの顔が利いてそうなフレンチレストランの個室で。シワ一つ見当たらないブルークロスがかかった八人掛けテーブルの上座におじさま、角を挟んで右手に両親、左手にお兄達とあたし。
食前酒が行き渡ると、身に付いた習性のように祝辞を並べたおじさまが乾杯の音頭を取った。
「これで淳人君も跡取りとして一人前だ。二人の子供ならどっちに似ても可愛いだろうなぁ。その時はあらためて祝わせてもらうよ」
「ありがとうございます」
お兄に合わせて杏花さんも笑み返す。
「そうですね。ずっとお兄しかいなかったので新鮮です」
細面の相好を崩した、ポロシャツにジャケットを羽織ったおじさまに言葉を選びながら、あたしもニコリと愛想よく。還暦は越えてても着こなしが若くて、お父さんのほうが老け・・・落ち着いて見える。
とある老舗ホテル、おじさまの顔が利いてそうなフレンチレストランの個室で。シワ一つ見当たらないブルークロスがかかった八人掛けテーブルの上座におじさま、角を挟んで右手に両親、左手にお兄達とあたし。
食前酒が行き渡ると、身に付いた習性のように祝辞を並べたおじさまが乾杯の音頭を取った。
「これで淳人君も跡取りとして一人前だ。二人の子供ならどっちに似ても可愛いだろうなぁ。その時はあらためて祝わせてもらうよ」
「ありがとうございます」
お兄に合わせて杏花さんも笑み返す。