スイレン ~水恋~
白のシャツに仕立てがいいブルーグレーの三つ揃い。オレンジと紺の斜めストライプのネクタイは、派手なようで全体の印象を引き締めて。
歳は28か9?ワックスでさっぱりとスタイリングされた黒髪。顔立ちはランクで言ったらお兄と志田の中間くらい。漢っぽさが足りない分ちょっと優男風味。・・・そこまで分析してみた。どこを取っても普通に堅気、極道の人間じゃない。
「あずちゃん紹介するよ、鳴宮浩一君だ」
「初めまして梓さん。鳴宮浩一と申します」
上着の内ポケットから卒なく名刺入れを取り出し、一枚をあたしに向けて差し出す。甘めの笑顔で。
「・・・千倉梓です。初めまして」
ぞんざいにならない程度には愛想よく会釈しながら。渡された横型のそれに目を落とせば、“ナルミヤコーポレーション”のロゴと支社名、課長の肩書き。
ナルミヤ。聞き覚えがあると思ったら、タワーマンションも建てる大手デベロッパーだ。テレビコマーシャルも流してる。・・・ふぅん、なるほど。
おじさまは資金源の確約、ナルミヤは裏組織と縁故になれたら怖いものは無くなるしで、そっちの利害は一致してるわけ。もちろん千倉にもそれなりの見返りが来る。娘を商売道具にしようなんて、ホントに小賢しい親よねぇぇぇぇ?
歳は28か9?ワックスでさっぱりとスタイリングされた黒髪。顔立ちはランクで言ったらお兄と志田の中間くらい。漢っぽさが足りない分ちょっと優男風味。・・・そこまで分析してみた。どこを取っても普通に堅気、極道の人間じゃない。
「あずちゃん紹介するよ、鳴宮浩一君だ」
「初めまして梓さん。鳴宮浩一と申します」
上着の内ポケットから卒なく名刺入れを取り出し、一枚をあたしに向けて差し出す。甘めの笑顔で。
「・・・千倉梓です。初めまして」
ぞんざいにならない程度には愛想よく会釈しながら。渡された横型のそれに目を落とせば、“ナルミヤコーポレーション”のロゴと支社名、課長の肩書き。
ナルミヤ。聞き覚えがあると思ったら、タワーマンションも建てる大手デベロッパーだ。テレビコマーシャルも流してる。・・・ふぅん、なるほど。
おじさまは資金源の確約、ナルミヤは裏組織と縁故になれたら怖いものは無くなるしで、そっちの利害は一致してるわけ。もちろん千倉にもそれなりの見返りが来る。娘を商売道具にしようなんて、ホントに小賢しい親よねぇぇぇぇ?