壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
近藤先生が屯所を出てから半刻が経ったとき、何人かに分かれて私たちは油小路へ向かった。

そして間もなく来るであろう伊藤先生を隠れながら待っていた。

このまっている時間は一生続くのではないかというほど長く、待ち伏せをしている新選組隊士の緊張は最高潮まで高まっていた。

「いやー、案外近藤君もいろいろ考えていたんだねー。」

「まぁ、俺も大所帯を率いる身なので、いろいろと考えざるを得ませんよ。」

ついに近藤先生と伊藤先生が油小路の近くまでやってきたのだ。

私は刀に手をかけ、間もなくこちらへやってくるであろう伊藤先生を固唾をのみながら待った。
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