壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
朝餉を食べ終わり、斎藤先生と並んで歩き、一旦部屋に戻ろうとしていた時、沖田先生に「先に行って待ってるから」と言われてしまい、私は斎藤先生に一礼した後、小走りで部屋に戻り、刀を脇に差した。

「俺も後で行くから、それまで準備でもして待ってろ。」

再び斎藤先生とすれ違った時、そう言われたので、私は再度一礼をして通り過ぎた。

道場に着くと、沖田先生だけでなく、土方先生とおそらく一番隊の隊士なのではないかと思われる人が数名いた。

「俺は防具つけないけれど、どうする?」

「同じ条件でやりたいので、いりません。」

「けがしても知らないぞ。」

「自業自得なので、大丈夫です。
新入隊士だからって手加減はしないでください。

私は、早く斎藤先生に認められたいので。」

沖田先生と数言交わしていると、斎藤先生が道場へ入ってきた。

私たちを見守っていた土方先生から、私が防具なしで試合に挑もうとしていると聞き、斎藤先生は慌て、私に声をかけてきた。

「杉崎、馬鹿なことするな!
総司はお前が敵うような相手じゃない。」

「斎藤先生、でも実戦の時はこんなに防具をつけないのですよね。

ここで防具をつけてしまっては、これに慣れてしまい、実戦の時に動けないと思うので、つけないです。」

頑なに防具をつけることを拒んだ私の勝ちで、斎藤先生は「いざとなったら試合を中断させる」と言い、私が防具をつけないことに了承した。
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