壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
日が完全に落ちた午後7時半過ぎ、私たちはひそかに準備をして本陣を後にした。

そして新政府軍がいる方に向かって何人かに分かれて進んでいったのだ。

日が落ちてから相手が動くと思っていなかったのだろう。

新選組隊士は次から次へ新政府軍の兵士を自分たちの刀で斬っていったのだ。

再び優勢につけた旧幕府軍は勢いを取りもどし、会津藩の藩士らも新政府軍に向かって斬りこみを続けたのだ。

しかし優勢に立てたのは一瞬だけだった。

新政府軍が再度発砲を始めたのだ。

今度の発砲は誰かを狙っているものではなかった。

新政府軍が狙っているもの、それは伏見奉行所内にある弾薬庫だった。

もし弾薬庫に引火したら大変なことになる。

引火する前に新政府軍との決着をつけようと、新撰組は躍起になり先ほどよりも強く素早く刀を振るっていった。
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