壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
「お前、強いな。
沖田を本気にさせたの多分お前が初めてだぞ。」

試合を見学していた隊士の一人が私に声をかけてきたのだが、私はその人のことを知らない。

「は、はぁ。
失礼ですが、お名前をうかがってもいいですか?」

その男性は「悪い悪い」と頭を掻きながら、名前を教えてくれた。

「俺の名前は永倉新八。
一応二番隊の組長をやらせてもらってる。

お前は昨日入隊した杉崎快だよな?
土方さんから聞いてた話だと、見るからに弱そうってことだけど…

確かに腕が細すぎるな。
ちゃんと飯食えよ。

今度俺とも試合やろうな。」

てっきり一番隊の隊士だと思っていた人は二番隊の隊長で、そのほかにも原田左之助など谷三十郎と見廻りに行っている藤堂平助以外は全員組長がいると知ったときは正直驚いた。

私は永倉先生に挨拶すると、部屋へ戻るべく道場を後にした。
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