壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
細心の注意を払いながら私たちは目的地、大阪城へ向かっていった。

しかし予想はしていたものの、途中で新政府軍との戦いは避けられず、今は足止めを食らっている状況だった。

四方を銃と刀を持った新政府軍に囲まれてしまっていたのだ。

戦いは避けられない、私たちはそう思い、ひとりまたひとりと抜刀した。

「いくぞ、てめぇら!」

土方先生の怒号により、戦闘が開始された。

私と斎藤先生もお互いに背中を守りあいながら戦闘に参加した。

新政府軍と刀を交わしながら、たまに撃たれる銃弾を交わしながら、ぎりぎりのところで戦闘を続けていった。

伏見での戦いと異なり、自分の背中を誰かが守っているという安心感が新選組隊士の心を支配し、私たちはそれまでとは打って変わって優勢に立つことができた。

今、新選組隊士の心にあるものは安心と義の二つだけだった。

朝敵となろうが、自分たちの義のために戦う。

そう考えればもう怖いものなどなかったのだ。

そうやって私たちはどんどん新政府軍の兵士を倒していき、この場は新政府軍が一時撤退となった。

新選組が勝利したのだ。

新政府軍が周囲から見えなくなり、私たちは安心をした。
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