壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
4月。

旧幕府軍はあれからさらに敗戦を続け、新政府軍の手に落ちた江戸からさらに北上していた。

現在は下総の国に新選組は屯所を構え、新政府軍と戦っていた。

新政府軍も旧幕府軍を追い詰めるような形で北上を続け、現在は板橋宿を拠点としていた。

ただ、逃げ続けるような戦いを続けていてもまだ新選組はあきらめていなかった。

すでに義をつくすべき徳川慶喜は逃げていたのだが、まだ戦っているところがあったのだ。

それはずっと前から新選組のことを見ていてくれた会津藩である。

会津藩も旧幕府軍の一員として懸命に戦っており、そんな状況で新選組があきらめるわけにはいかなかったのだ。

新選組は義をつくす相手は大きな徳川慶喜という存在から一幕臣である会津藩へと変わっていたが、旧幕府にいまだ義を感じているという点では何も変わっていなかった。
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