壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
それから半月後、新撰組に一通の申し送り書が届けられた。

その中身を土方先生が隊士らに読み聞かせた。

「新選組局長、近藤勇は昨日斬首刑に処せられた。

これ以上無駄な抵抗をする場合、容赦なくとらえ、極刑に処す。」

わずか二文で書かれた申し送り書には近藤先生が処刑されたことが書かれていた。

何があったのかよくわからなかったが、近藤先生の正体が見破られ、そのまま処刑されてしまったらしいのだ。

「お前ら、狼狽えるんじゃねぇ。
局長は捕縛されてたんだ。

いつかはこうなることぐらい本人だってわかっていたはずだ。

じゃあ、俺らはどうすればいいか。
局長の遺志を継いで戦い抜くだけだろ。

俺たちはもう後戻りなんかできない状況に立たされているんだ。

局長の死を無駄にしないためにも俺らは戦い抜いて生きることだけを考えろ!」

近藤先生の死を無駄にしないためにという土方先生の言葉は新選組隊士らの胸に深く突き刺さり、生き残るために戦うというのは私たち新選組の合言葉になった。
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