壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
その日の晩、土方先生は全新選組隊士を一か所に集め話をした。

「俺は今からかなり酷なことを言う。

これからの行動はお前らが自分自身で考え、最良だと思った行動をとれ。

今回の戦いで新選組隊士は6名もの犠牲を出してしまった。

俺はこのままここにいても新政府軍の攻撃に耐えられないと判断した。

よって、俺は榎本武揚率いる旧幕府軍についていき、蝦夷で戦うことにした。

しかしこれは会津藩を見捨てるということである。

だから、俺はお前らに蝦夷までついてこいと強制はしない。

俺とともに蝦夷へ向かうか、ここで会津藩とともに戦うか、今決めてほしい。

これだけは言っておく。

どちらを選んだとしても決して新選組から脱退したことにはならない。」

土方先生と会津藩を見捨てて蝦夷へ向かうか、それとも戦いが激化しているこの地に残り、命果てるその時まで会津藩とともに戦うか。

その選択はひとりひとりにゆだねられたのだ。

どちらを選んだところで楽な道ではないということがわかっていたため、選択を余儀なくされた私たちは非常に困っていた。

そして半刻ほど経った後、全ての隊士の選択が終わった。
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