壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
汗で髪は張り付いていたが、今は少し落ち着いてきており、我が子らと対面したときの感動といったら何にも代えがたいようなものだった。

その後に汗で汚れた着物を産婆さんの手を借りて着替えると、ついに一さんの入室が許可された。

「無事に生まれたよ。
殿方よりも奥方の方が落ち着いていたね。

出産中も何も問題はなかったからもう大丈夫だとは思うけれど、何かあったらまた予備に来ておくれ。」

産婆さんはそう言い終えると汚れたものを持って部屋から出ていった。

「愛望、よく頑張ったね。

二人だよね…?」

私もずっとひとりだと思っていたように一さんもひとりだと思っていたらしく、私のそばにいる二人の赤ちゃんを見てとても驚いていた。

「はい。
正真正銘私と一さんの子どもです。」

双子だったということを理解した一さんはとても喜んでいた。

「大変かもしれないけれど、ふたりで一緒に育てていこう。

苦しさが倍ならば喜びは倍以上になるのだから。」

その言葉に私は強く「はい」と答えた。

「この子たちの名前どうしますか?
男の子と女の子なのですが。」

生まれてからその子の顔を見て一番合う名前を付けてあげようと私たちは事前に話し合っていたため、まだ具体的に名前が決まっていなかった。

一さんも悩みに悩んでいたらしく、腕を組みながらうなっていた。
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