壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
「俺たちは一度五稜郭へ戻り、事の顛末を榎本らに報告する。

まだ残党が残っているかもしれない。
五稜郭につくまで決して油断はするな。」

俺の指揮で俺の陣は数日の行軍を経て再び五稜郭へ戻ってきた。

そこで松前藩の敗走を報告した俺が聞いたことはあまりにも衝撃的だった。

どうやら天候不良に見舞われもう一つの陣が大変なことになり、ほんのわずかであるが新政府軍の上陸を許可してしまったらしいと。

そのことを聞いた俺の心にはふたつのことがよぎった。

ここ、蝦夷も本州同様に戦場になる。

新政府軍が蝦夷を目指してやってきたということは会津に残った斎藤らはもう…

直接聞いたわけではなかったがここまで新政府軍が攻めてくるということはそういうことに違いなかった。

でも、ここで止まるわけにはいかない。

俺についてきた新選組隊士を守るため、ここで俺が指揮を執る陣に所属する多くの仲間のために、俺は戦うことを決意した。
< 235 / 271 >

この作品をシェア

pagetop