壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
一部、新政府軍の奴らが上陸してきたとは言えどもまだ俺たちの勝機が絶たれたわけではない。

俺たちは函館政権を樹立し、いずれ来るであろう新政府軍に対抗することになった。

誰を函館政権の首とするかは今残っている人らのほぼ満場一致で榎本武揚に決まった。

何人か俺に票を入れてくるものもいたのだが、榎本に入れた票の方が多かったこと、俺はその気がないこと、という点から榎本が快く引き受けてくれたのだ。

俺たちは今後勢力をあげて上陸してくるであろう新政府軍に対抗するべく、軍事組織を再編成した。

今までは陸での戦いに重点を置いていたが、これからはなるべく上陸を阻止しようということもあり、半分ほどは海岸警備にあてられた。

もちろん、俺は海岸警備の指揮など執ったことがなかったので、今まで通り陸から攻撃を行う陣の指揮者となっていた。
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