壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
それから間もなくのことだった。

ついに新政府軍が函館政権の制圧に踏み切ったのだ。

何千という新政府軍の奴らが上陸してきたのだった。

このままではすぐに五稜郭は制圧されてしまう。

そう考えた榎本は俺たちを4つの部隊に分け、これ以上の進軍を阻止するように命じた。

俺に命じられたのは二股口付近で新政府軍を待ち構え撃退するというものだった。

俺には300人ほどの仲間を指揮するという今までで一番規模の大きいものを任されたが、焦ることはしなかった。

指揮を執るものが焦ってしまえば、それに従うものにまで不安が連鎖してしまうから、俺は焦らなかった。

翌日には陣を率いて二股口へ行軍を始め、数日かけて二股口までたどり着くと新政府軍の到着を仲間とともに防壁を構築しながら待った。
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