壬生狼の恋ー時を超えたふたりー
あれから数日が経ち、私は何度か斎藤先生に稽古をつけてもらった。

そして今日、私は初めて見廻りという仕事に就くことができる。

今までは斎藤先生をはじめ、他の三番隊の隊士が見廻りに行っている時は屯所で留守番だったのに、今日は連れていくと斎藤先生を起こしたときに言われていた。

朝餉を食べ終わり、他の隊士と一緒に屯所の入り口で待っていると、私たちと同じだんだら羽織を着た斎藤先生がやってきた。

「見廻りに行く前にひとつ。
こいつ、今日が初めてで浮かれてるから、こいつのこともみんなで見守っていてほしい。

こいつが腰に差しているのは俺らと違って模擬刀だから、何かあったときに助けてやってくれ。」

先ほどから、こいつと言われているのはもちろん私のこと。

浮かれている気持ちは隠しているつもりなのだが、斎藤先生にはばれていたらしかった。

同じ三番隊の隊士は嫌な顔をせず、「はい!」と元気に返事をしていたので、とりあえずの心配はいらなかった。
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